ビタミンは健康になくてはならない栄養成分です。多くのビタミンは食べ物から摂取することができますが、中には体内で合成されたり変換されたりすることでビタミンとして働く栄養素もあります。

当然、体にいい栄養素ではあるのですが、過剰摂取・摂りすぎが良くないのと同様、不足することも避けなければなりません。食べ物に含まれるビタミンは脂溶性ビタミンと水溶性ビタミンがあります。ここでは、脂溶性ビタミンが不足や過剰摂取が、体に、健康にどのような影響があるのかを見ていきます。

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脂溶性ビタミンとは

油に溶ける・熱に強い・水洗いでも流出しにくい

脂溶性ビタミンの特徴は、油に溶けやすいという性質を持っています。脂溶性ビタミンを効率よく摂取するためには、油を使った加熱調理(揚げ物や炒めもの)によって、体に吸収されやすくなります。脂溶性ビタミンは熱にも強いため加熱によって、栄養が損なわれることもありません。

水溶性ビタミンの場合は、例えば野菜を水洗いしたり、水に浸けておくと、ビタミンが流れ出てしまいますが、脂溶性ビタミンは水洗いによっても水に流出する量は非常に少ないのです。

脂溶性ビタミンの種類と働き<体の老化に大きく影響>

脂溶性ビタミンは「ビタミンA」「ビタミンD」「ビタミンE」「ビタミンK」の4種類あります。これらのビタミンは、熱に強く、脂に溶けることで体に吸収されやすくなるのですが、過剰摂取すると体に溜めこみやすくなります。

主な働きは、皮膚や粘膜を形成したり、カルシウムを吸収しやすくなる働きによって骨や歯を健康な状態に保つことができます。また抗酸化作用があるため、女性にとっては美容、特に肌を美しく保つ働きも見逃せません。

脂溶性ビタミンA・D・E・Kそれぞれ働き

ビタミンA

肌や粘膜を健康状態に保ち、はりやツヤとともに、ウィルスなどの細菌をブロックする免疫力があります。乾燥肌が気になる場合は、ビタミンAの不足が考えられます。

目の粘膜に関しても重要な働きをします。網膜で光を感じる物質である「ロドプシン」の生成にビタミンAが欠かせませんし、夜盲症の改善にも必要なビタミンです。

鳥・豚・牛のレバーや無塩バターにも多く含まれます。また、ベータカロテンを多く含む食品にはにんじん・かぼちゃ・モロヘイヤなどがありますが、これらは体内に取り込むことで、体が必要とする量に応じてビタミンAに変換されます。

ビタミンD

このビタミンは食品から摂取することはもちろん、日光を浴びることで体内でも生成されるビタミンでもあります。

ビタミンDは、カルシウムやリンの吸収を補助し、健康な骨やを作ります。特に発育途中にある子供の場合は、カルシウムの吸収をよくするためにもビタミンDの摂取がとても大切です。

もちろん、大人になってもビタミンDの不足は避けなければなりません。高齢になって骨粗鬆症を予防するためにも必要なビタミンです。カルシウムと一緒に摂取することで、効率よく吸収することができます。あんこうのキモや、いくら、しらす干しなどに含まれています。

ビタミンE

抗酸化作用の強いビタミンで、美容にも欠かせないビタミンです。

体細胞の活性酸素を減らし体を酸化から守る働きがあり、血管を丈夫にする作用とともに、肌だけでなく全身の健康状態を保ちます。シミ・シワ対策だけでなく、冷え性や肩こりの改善にも必要なビタミンです。

アーモンド・ピーナッツなどのナッツ類、ヒマワリの種、あんこうのキモ、いくら、うなぎ、小麦胚芽などに多く含まれます。
ビタインEはビタミンA・ビタミンCと同時に摂取することで効率よく吸収できます。

ビタミンK

ビタミンDの働きと似ていますが、カルシウムを骨に沈着させる働きがあります。また、けがなどで出血したとき、傷口の血液を固める作用があります。骨粗鬆症の予防にも有効なビタミンです。パセリ、モロヘイヤ、ブロッコリー、ほうれん草などに含まれます。

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脂溶性ビタミンの不足と過剰摂取による副作用は?

脂溶性ビタミンは「薬」ではありませんので、「副作用」という言葉はそぐわないのですが、過剰摂取や不足によって健康に悪影響が出ることがあるという意味としてとらえていただければと思います。

脂溶性ビタミンが不足するとどんな影響がある?

  • ビタミンAの不足:目が乾きやすくなったり、髪の毛のパサつきの原因になることもあります。のどや胃腸の粘膜も乾燥しやすくなり、免疫力が下がって風邪をひきやすくなります。視力の低下や、薄暗いところでモノが見にくくなる夜盲症になることもあります。
  • ビタミンDの不足:特に幼少期にビタミンDが不足すると、骨の発育に影響が出ます。授乳期には特にビタミンDが不足しないように注意する必要があります。ビタミンDは特に不足しやすいビタミンと言われていますので、高齢期の骨粗鬆症の予防のためにも積極的に摂取しましょう。
  • ビタミンEの不足:ビタミンEはビタミンDとは逆に不足しにくいビタミンです。不足した場合は、肌の乾燥や、シミ・シワの原因になります。血流も悪くなり、肩こりや冷え性にもつながります。
  • ビタミンKの不足:血液の凝固に影響が出ます。けがをしたときに、傷口の血が止まりにくくなったり、歯茎からも出血しやすくなります。ビタミンKは緑黄色野菜には多く含まれているため、適度に野菜を摂っていれば不足することは少ないようです。

 

過剰摂取

脂溶性ビタミンとよく比較される水溶性ビタミンに関しては、過剰摂取しても余剰な量は尿として排泄されます。しかし脂溶性ビタミンを過剰摂取すると健康に悪影響を及ぼしやすくなります。

  • ビタミンAの過剰摂取:肌の乾燥、肌荒れ、頭痛やめまいの症状が現れることがあります。
  • ビタミンDの過剰摂取:ビタミンDは不足だけでなく過剰摂取にも十分注意しなくてはなりません。食欲不振による体重の減少や、嘔吐といった症状が出ることがあります。サプリメントを多く取っている方はビタミンD過多にならないように気を付ける必要があります。
  • ビタミンEの過剰摂取:摂取しすぎた場合、疲労感が強くなることが考えられますが、ビタミンEは1日に800mg以上摂取するのでなければ特に過剰摂取による影響は出にくいとされています。
  • ビタミンKの過剰摂取:血液に関する症状がある方で、特定の薬を飲んでいる方は、ビタミンKの摂りすぎで症状の改善に影響することがあります。

まとめ

脂溶性ビタミン、水溶性ビタミンに限らず、やはりバランスのとれた摂取が必要ですね。ただ、ビタミンDに関しては不足しやすいビタミンとしてよく知られていますので、ビタミンDを含む食材は積極的に食べるようにした方がいいかもしれません。また、サプリメントを常用している場合は、一つのビタミンに偏らないように注意しましょう。

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