ナッツとは言うまでもなく「木の実」のことです。ナッツには、ここから命が育っていく源になる栄養素と強い生命力が含まれています。
卵や玄米が完全食品であると言われるように、ナッツ類にも三大栄養素やビタミン、ミネラル、良質なたんぱく質などが豊富に含まれているのです。もちろん人間の体にいいことは言うまでもありません。
さらに、ナッツに含まれる油はオメガ3・6・9があり、体内で生成することが出来ない油もあり、食品から摂取しなければならないαリノレン酸という必須脂肪酸が含まれています。
ナッツの油分や栄養素の効果的な摂取方法、食べ方を紹介していきますのでぜひ参考にしていただければと思います。
ナッツの油
オメガ脂肪酸
ナッツの種類によって、含まれる分量バランスの違いはありますが、オメガ3、オメガ6、オメガ9という脂肪酸が含まれています。
オメガ3
オメガ3にはαリノレン酸があり、必須脂肪酸といわれていて、体には必ず必要な油分なのです。オメガ3は血中の悪玉コレステロールを低下させるだけでなく、善玉コレステロールを増加させる働きがあります。簡単にいうと血液サラサラ効果ですね。
DHAやEPAに相当する優秀な油だと言えます。
オメガ3については「オメガ3系食品」をご参照ください。
参考:「DHA・EPAの効果効能」
オメガ6
コーン油などの植物油に代表される油分=リノール酸です。これも必須脂肪酸ですが、この油に限っては、日本人の食生活では多く摂取しがちな油です。むしろ体のために減らした方がいい油分でもあるのです。
オメガ9
オメガ9にはピーナッツオイルやオリーブオイルに代表されるオレイン酸があります。オメガ9は体内でも生成できる油分で、オメガ3と同じように血中の悪玉コレステロールを低下させ、肝臓機能を改善する働きがあります。
ナッツに多く含まれる主な油
ナッツ類には上記の3種類の油が含まれてはいるのですが、もっとも含まれている割合が多いのがオメガ9系脂肪酸です。
しかしオメガ脂肪酸の中で優秀な効能を持っているのはオメガ3系脂肪酸です。
そしてオメガ3もオメガ6も多く含まれているのは「くるみ」です。
あとで説明しますが、くるみは質の良い油を含んでいるのですが、高カロリーですから大量にとると肥満につながるので注意が必要なのです。
ナッツの種類と食べ方・効果
ナッツには、くるみ、アーモンド、落花生(ピーナッツ)、ぎんなん、カシューナッツ、ピスタチオ、くりなどがありますが、どれもたんぱく質が豊富で、良質な油分が含まれています。
カロリーは高いのですが、ビタミンB1、B2をはじめ、ミネラルも多く含みます。
くるみ
硬い殻のある、リスがよく食べているあの「くるみ」ですが、じつは「実」そのものを食べているのではなく、食べられるのは実の中の「仁」という種の部分なのです。
日本のくるみは「鬼ぐるみ」と言って、あまり食用には向いていないのですが、最近ではくるみの栄養効果が高いことがテレビ番組などで紹介され、中国やカリフォルニアなどから多く輸入されてきています。
スーパーでもよく売っていますが、すごく値段が高いです。ほんの少し・カップ一杯程度100~200gで600~800円位します。積極的にくるみを食べようとするなら、500g~1kg入りのくるみをネットショップなどで安く購入できます。
参考:「生くるみの栄養と効果効能」
くるみの油は良質!
くるみに含まれる油(不飽和脂肪酸)はαリノレン酸、リノール酸、オレイン酸で、とても良質で動脈硬化や成人病の予防になりますし、消化・吸収もよいので、病中病後の人にも最適です。
特にαリノレン酸は、オメガ3という脂肪酸に分類され、美肌をつくり、脳の働きを高め、さらに若返りの油とも言われているのです。
αリノレン酸は悪玉コレステロールを減らすことでも知られています。
あまり長い期間保存すると、実の状態でも酸化しますから早めに食べきるようにしましょう。
くるみのビタミンEが白髪を防ぐ
くるみにはビタミンB1とともに、非常におおく含まれるビタミンEが体の組織を活発にし、つやのある黒い毛髪を育てることに役立ちます。
くるみは高カロリー食べ方に注意
くるみはおつまみにもよく、ついぽりぽり食べてしまいがちです。くるみは体にいいものですが、ナッツだからと言って食べ過ぎると必ず太りますから注意が必要です。
しかしカロリーは非常に高く、白米の約4~5倍、100gあたり約600kcalもあります。栄養分は良質ですが、毎日食べるなら3~5個くらいで抑えたほうがいいですね。
アーモンド
おつまみにミックスナッツに含まれているアーモンドや、アーモンドチョコレートとして食べることはあっても、わざわざアーモンドだけを食べている人って少ないと思います。
アーモンドにはかなりの栄養価がありますので、少量ならアーモンドナッツも体のために良い働きがあるのです。
参考:アーモンドの栄養とよく比較される食べ物に「タイガーナッツ」があります。タイガーナッツの美容効果についてもぜひご参照ください。
不飽和脂肪酸であるオレイン酸が豊富
アーモンドに含まれる油分は、オレイン酸で、コレステロールを下げる効果があるのです。
オレイン酸については「オリーブオイルの効能」をご参照ください。
食物繊維が豊富
アーモンドに含まれる食物繊維は、 水に溶けにくい不溶性食物繊維のため、腸内で水を含んで膨張し、腸の蠕動運動(ぜんどううんどう)を促進し、便秘の改善にも役立ちます。と言っても大量にアーモンドだけを摂ることはNGですよ。
ビタミンB2が脂肪燃焼に働く
ビタミンB2は、脂肪の代謝を助ける作用があり、脂質の代謝と深いつながりがあります。
また、髪の毛、皮膚や爪などの再生や、目や口などの粘膜を正常に保つことにも関わっています。ダイエットや、目の健康にはかかせないビタミンです。
落花生(ピーナッツ)
ピーナッツを食べ過ぎると鼻血が出るって、昔からよく言われていましたね。
よくないイメージもあるのですが、ピーナッツは栄養価の高い食品なのです。
落花生に含まれている油分も主に不飽和脂肪酸です。
ピーナッツに含まれるビタミンEは老化防止や、血流改善に役立ちます。
オレイン酸
ピーナッツに含まれている油の約半分は、オレイン酸・リノール酸などの不飽和脂肪酸です。不飽和脂肪酸は、血中の悪玉コレステロール値や中性脂肪の値を下げて、動脈硬化や心筋梗塞などの生活習慣病を予防する働きが認められています。
ビタミンB3
ピーナッツには多くのビタミンB3が含まれています。
ビタミンB3はナイアシと呼ばれている栄養素ですが、健康には欠かせない働きをしてくれています。
血中コレステロールの低下作用や、たんぱく質の合成、高脂血症の改善、高血圧の改善、血管拡張作用など多くの効能があります。
また、ビタミンB3は、アセトアルデヒドを分解する力があり、肝臓の負担を軽くします。
ぎんなん
ぎんなんはご存知のように、銀杏(いちょう)の実で、非常に強い生命力をもっています。
マグネシウム・リン・カリウム・鉄など骨の形成に欠かせないミネラルが豊富で、ビタミンCやカロテンは、他のナッツ類よりも多く含まれています。
ぎんなんを混ぜたご飯もおいしいのですが、ぎんなんには、メチルピリドキシンという中毒物質が含まれていますので、食べすぎには注意が必要です。
子供は5粒位まで、大人でも10数粒までにしておいたほうがよいようです。
カシューナッツ
勾玉のうな形をした「カシュー」の実です。多くの方は食べたことがあるのではないでしょうか?そんなに栄養素があるようにも思えなかったのですが、そんなことはありません。栄養豊富なのです!
ビタミン・ミネラルが豊富
特に成人に不足しがちな「亜鉛」が多く含まれています。他に、ビタミンB1、ビタミンE、鉄、マグネシウム、などを含みます。
亜鉛は、味覚障害の改善や、抜け毛予防にも役立ちます。
亜鉛を効率よく吸収するためには、ビタミンCを含んだ食材と一緒に摂取することです。
ビタミンKが骨を作る
骨を作る補助をするビタミンKのほか銅やマグネシウム、鉄が含まれています。もちろん骨粗鬆症が気になる方にはよい食品ですが、摂り過ぎはカロリーオーバーにつながりますからほどほどに摂取するのがいいでしょう。
食物繊維
食物繊維や、不飽和脂肪酸であるオレイン酸が含まれ、腸の蠕動運動を促し、便秘の解消にも役立ってくれます。
くり
くりと言えば、天津甘栗が思い浮かびますが、くりも立派なナッツですね。日本で売られているものは、中国の天津からの輸入物が多いようです。
栗に含まれる主な栄養素は、ビタミンB1、B2、B6、C、カリウム、カルシウムなどです。食物繊維も豊富ですから、秋にたべる食品としては便秘の改善にも一役かいますね。
中でも、熱に弱いとされるビタミンCは、栗のでんぷん質の中に存在するため、多少加熱してもビタミンCを壊さずに摂取出来ます。
またカリウムは、体内の余剰な塩分を排出してくれますから体とってとてもいい食材です。
まとめ
ナッツに含まれるオイルで注目したい油は、オメガ3脂肪酸です。体にいいのはもちろん、少量で非常に良質な必須脂肪酸を摂取することが出来ます。
食べ方としては毎日少量ずつ。ナッツそのものを多量に食べることはあまりありませんが、ちょっとおつまみとして食べはじめたら止まらなくなってしまうものです。
ナッツはほぼ完全栄養食品と言ってもよいですし、含まれる油分も良質なナッツですがカロリーも高いことも覚えておきましょう。