鉄分の多い食品の名前をまずは紹介しておきます。詳細はそれぞれの項目をお読みいただければと思います。
【豚レバー・鳥レバー・あさりの水煮・ほうれん草・小松菜・枝豆・パセリ・プルーン・ひじき・ソラマメ・切干大根・納豆・スイートコーン・かつお・まいわし・牡蠣・しじみ・ゴマ・鶏卵・豆乳】
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貧血気味の人がよく言われるのは、「鉄分が足りてないんじゃないの?」という常套句ですよね。
そんなことわかっとるわ~と思いつつも、鉄分の含まれている食品をあまり知らないのも事実ではないでしょうか?ほうれん草とか、レバー、ひじき、プルーン・・・などは誰でも知っていそうですが、これ以外にも鉄分は多くの食品に含まれています。
鉄分はどのような食品に多いのか、そして鉄分を効果的に摂取する方法も紹介していきます。鉄分の摂り過ぎにも問題ありそうですので、合わせて説明します。
目次
鉄分とは
よく知られている鉄分の働きは、血液を作り酸素を運ぶ作用ですね。
鉄分のほとんどは小腸から吸収され、造血以外にも、肝臓の解毒作用や、筋肉の収縮を助ける働きもあります。
いずれも鉄分は体のエネルギー代謝に関わる働きをする大切なミネラルなのです。鉄分は体内に3~4g存在しており、これは体重60kgの成人の約0.005%に当たります。
そして鉄分の大半は赤血球のヘモグロビンに含まれているのです。
鉄分の働き
酸素を運ぶ働き
鉄分は、赤血球の成分であるヘモグロビンのを作る材料になっているのですが、ヘモグロビンは赤血球の色素でもあり、酸素を体中に運ぶ役割をしています。
鉄分は、肝臓や筋肉などにも存在しているのですが、血液中のヘモグロビンが不足してくると、この保存されていた鉄分が使われることになるのです。
活性酸素を除去する働き
「活性酸素」という文字の見た目にはあまり悪いイメージはないように思いませんか?酸素を活性化するような、なんだか良い印象を受けますよね。実は私がそうでした・・・
最近ではこの「活性酸素」が体に害を及ぼすことは多くの方も知るようになったと思います。
「活性酸素」が体内に増えると、老化を促進してしまったり、正常な細胞を害したりするのですが、簡単に言うと「活性酸素」は体を錆つかせるということなのです。
鉄分の中には、これらの「活性酸素」を分解する酵素が含まれているのです。ですから、貧血だけでなく、老化防止にも非常に大切なミネラルなのです。
免疫力を保つ働き
白血球の働きはご存知ですか?
体内に侵入したウィルスを攻撃し排除してしまう役割があるのですが、鉄分が不足してしまうと、白血球の細胞の害敵への攻撃能力が減少してしまうことが分かっています。
鉄分の不足は、免疫力の低下にもつながっているのですね。
鉄分が不足すると・・・
鉄分の主な働きは、血液に乗って酸素を全身にゆきわたらせることです。ですから、鉄分が不足することで酸素不足の状態が体に悪影響を与えていくことになるのです。
鉄分不足の症状
鉄分が不足すると主に、鉄欠乏性の貧血を起こします。
青白い顔って言われるように血色が悪くなり、めまいや息切れも起こってきます。筋肉の中の鉄分も減少するため、疲れやすくなることも多くなます。
運動してもすぐに疲れてきたり、口内炎ができやすくなったり、皮膚や爪の状態に違和感を感じるなどのことが起こってきます。
鉄分が不足する原因
無理なダイエットによる食事制限がその一つです。痩せるために小食にして、食事の栄養バランスを崩すことにつながっています。
妊娠や出産による、栄養分の消費が大きくなる時期には、どうしても鉄分をはじめとする栄養分が不足するのです。
しかし鉄分がするからと言っても、鉄分を多く含む食べ物を一度に摂取しても全部が吸収されることはありません。鉄分不足は、少しづつでも毎日の食べ物から摂取していくことです。
鉄分と摂りすぎると・・・
貧血気味だからといって、鉄分を摂り過ぎることはもちろん体によくありません。
胃腸の調子がよくないと感じていたり、炎症のある状態で鉄剤を摂取すると症状を悪化させることもありますので注意が必要です。
サプリの摂り過ぎに注意
鉄分を摂取しすぎる主な原因は、鉄分のサプリメントを多く摂り過ぎていることです。過剰摂取すると、下痢を繰り返したり、痙攣をおこすこともあるようです。
普通に、食品から摂取しているなら、体は必要以上には吸収されない仕組みになっていますので過剰摂取にはならないのですが、自己判断でサプリメントを摂り過ぎないように注意して下さいね。
日常の食品からバランスよく摂取することが理想ですから、貧血などで鉄分不足かなと思っても安易にサプリメントに頼らないことです。
自分で判断しないで必ずお医者さんに相談することですよ。血液検査を受けて正しい必要量を処方してもらったほうが安心です。
効果的に摂取するには
肉・魚などの動物性食品には「ヘム鉄」が、野菜や海草などの植物性食品には「非ヘム鉄」が含まれています。
吸収されやすいのは、動物性食品の「ヘム鉄」です。
植物性食品の「ヘム鉄」を摂る場合は、ビタミンCと一緒に摂取すると吸収されやすくなります。
鉄分の多い食品
豚レバー・鳥レバー
豚レバーは1食分の目安は50gで、鉄分の含有量は6.5mgです。
鳥レバーは1食分の目安は50gで、鉄分の含有量は4.5mgです。
牛レバーは1食分の目安は50gで、鉄分の含有量は1.3mgです。
レバーは、鉄の含有量が多く、吸収率も高いです。
植物性食品の鉄の吸収率は5%ほどであるのに対して、動物性食品であるレバーの鉄分吸収率は約20%もあるのです。
また、レバーには「銅」も含まれます。この「銅」はヘモグロビンに鉄を渡す役割をするだけでなく、肝臓などに保存されている「貯蔵鉄」を引きだす働きも持っています。
どういうことかというと、体内の鉄分が不足してきたときに「銅」の働きが無いと、「貯蔵鉄」をうまく引き出すことが出来ず、貧血の状態になってしまうのです。
ですから、レバーは「鉄」も「銅」も豊富に含んでいるため貧血予防には最適な食材なのです。
あさりの水煮
1食分の目安は30gで、鉄分の含有量は1.2mgです。
貝類としてはトップクラスの鉄分の含有量です。
アサリは、鉄分が多く含まれているので、貧血の予防にも効果が期待できる食品です。ビタミンB12や、体内の鉄分を引き出す作用のある「銅」も豊富に含まれています。
あさりに水煮缶にも多くの鉄分が含まれています。あさりは煮つめたりする調理の仕方によっては、鉄分の量が相対的には増加します。
ほうれん草
1食分の目安は70gで、鉄分の含有量は1.4mgです。
ほうれん草は「血を補う」食品として昔からよく食べられている野菜です。
いまでは、いつでも売られていますが、旬は11月~2月頃です。2月頃のものが最も栄養価が高く甘みがあります。
鉄分のほか、ビタミンA、E、B1、B2、C、葉酸やマグネシウムが豊富に含まれ、貧血には効果的に働きます。
ビタミンA、E、は加熱してもほぼ失われることはないのですが、ビタミンCは熱に弱いので、サッと短時間で調理するようにした方がいいですね。
生でも食べられますので、ドレッシングなどの油と一緒に摂ることで、カロテンの吸収率も高まりますよ。
貧血を改善するのはもちろんのこと眼病予防の働きもあります。
抗酸化作用のあるルテインが含まれ、緑内障や黄斑変性症などの予防や改善にも役立ちます。
「ほうれん草の栄養と効能」もぜひご参照ください。
小松菜
1食分の目安は70gで、鉄分の含有量は2.0mgです。
小松菜は12月から3月頃が旬で、栄養成分は鉄分以外にカルシウムが非常に多く、ほうれん草の約3.5倍も含まれています。
ビタミンCやβカロテンも含まれ、ビタミンKは骨の形成を促進し、造血ビタミンともいわれる葉酸(ビタミンM)も豊富に含まれます。
貧血症以外にも骨粗鬆症にも有効な野菜ですね。
枝豆
1食分の目安は50gで、鉄分の含有量は1.2mgです。
旬は7~9月頃。
ビールのおつまみには欠かせませんね。
意外にも枝豆にも豊富な鉄分が含まれているのですね。ついつい食べ過ぎてしまうので、枝豆につけた塩分の摂り過ぎには注意したほうがいいですね。
自立神経の働きを調節するビタミンB1が豊富で、新陳代謝を促進します。たんぱく質や食物繊維、抗酸化作用のあるビタミンA・ビタミンC、アルコールを分解する必須アミノ酸であるメチオニンも豊富です。
貧血の予防や妊娠中の方にも摂ってほしい食材です。
パセリ
100g中、約7.5gもの鉄分を含みます。
これは野菜の中でも非常に多い値です。
パセリは栄養成分も非常に多い野菜なのですが、パセリって付け合わせでちょろっと添えられているだけで、メインで食べる食材というイメージはないですよね。
カロテン、ビタミンB1、B2、Cなどのビタミン類だけでなく、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルも豊富に含まれています。
ハマグリをパセリバターで焼いて食べると、もちろんおいしいですし、パセリの鉄分と同時に貝の鉄分もしっかり摂取することが出来ます。
プルーン
ドライフルーツ状態のプルーン1個の鉄分の含有量は約1mgです。
1日の鉄分の必要量は10~15mgといわれており、プルーンだけを食べるなら、大体10~15個必要になります・・・
いえいえ、実は違うのです。実際に体内に吸収されるのは、10分の1程度というのが栄養学な見方ですから、1個のプルーンからは0.1mg程度の鉄が吸収されることになります。
ということは、プルーンだけで鉄分10mgを補充しようとすると、プルーンはなんと100個以上食べなければなりません。
そんなことは無理ですね。プルーンは鉄分と摂取するためのメインの食材としてではなく、プルーンにも鉄分が入っているという程度だと知っておきましょう。
ひじき
100gあたり鉄分の含有量は55mgです。
ちょっと待った!!正確には55mgといわれていました。
ひじきには、多くの鉄分が含まれていると昔からいわれているのです。
実際に日本食品標準成分表でも上記のように記載されていたのです。
しかし、2015年12月25日に日本食品標準成分表が改定され、そこに掲載されていた、ひじきの鉄分の含有量はなんと、55mgから6.5mgに激減、変更されてしまったのです。
なぜこんなことになってしまったのか・・・
実は当初ひじきの調理に鉄製の調理器具が使われており、その調理器具の鉄分が溶け出していたということがわかったのです。
今では、ほとんどステンレスの調理器具が使われており、これを使ってひじきを調理したところ、鉄分の含有量が6.5mgだったのです。
え~、そんな理由ですか?ちょっと衝撃ですが、上記のように発表されているのが事実なのです。
ヒジキはもちろん鉄分も含まれていますし体にいい食品ですから、調理するなら鉄製の器具で!ということですね。
その他の食品
ソラマメや切干大根、納豆、スイートコーン、かつお、まいわし、牡蠣、しじみなどにも多くの鉄分が含まれています。ごまや鶏卵、豆乳などにも少量ですが鉄分が含まれています。
鉄分だけでなく、栄養成分をバランスよく摂取することを考えれば、自分の趣向だけで食品を選ばず、普段はあまり食べない食材にも目を向けることは必要ですね。
まとめ
鉄分の多い食品を摂って、貧血予防・対策することはとても大切なことです。自分で貧血気味だなと感じるなら、サプリメントではなく、食品から摂取することですね。
食品から摂取する分には過剰摂取は避けられますから。
でも、毎日、この食材で鉄分は何mg、あの野菜でビタミンが何mg・・・なんてやってられないですし長続きしないですね。
やはり、バランスなのです。好き嫌いなく何でも食べる。1日に30品目摂るようにとよく言われているのもこのためだと思います。
出来るだけ偏食をさけて、野菜を中心に多品目食べるようにするのが理想です。けっこう難しいけど、心がけるしかないですね。