ここ20~30年くらいでしょうか、最近になってズッキーニという野菜が日本でも使われることが多くなりました。今ではズッキーニを知らない人はいないと思いますが、具体的にどんな野菜で、ズッキーニにはどのような栄養と効能があるのかを解説します。
目次
ズッキーニの産地と種類
産地
ズッキーニの起源は、メキシコ、ニイカラグア、コロンビア、ベネズエラなどの熱帯アメリカ地域が原産です。日本には16世紀ころから入ってきたといわれています。
日本では、1980年頃から注目され始めた野菜のようですが、フランスでは「ラタトゥイユ」には不可欠の一般的にもなじみのある食材です。
種類
夏から秋にかけて実が成るウリ科の野菜で、ズッキーニの植付時期は5月上旬から中旬、収穫時期は7月中旬~8月上旬です。
家庭菜園でも良く育つ人気のある野菜です。
形状は「ほぼきゅうり」と言ってもいいくらい、キュウリ似ていますが、実はかぼちゃの仲間です。
かぼちゃは完熟してから採取して、さらに様々に調理して食べるのですが、ズッキーニに関しては完熟していない未熟な状態の実を採取してさらに調理して食べることがほとんどです。
形は細長いものから、卵のような丸い形状のものまで多くの種類があります。
食感と味
ズッキーニの歯ごたえや味は、「茄子」に似ていて、色はいわゆるグリーンのモノから、赤っぽいもの、黄色っぽいものもあります。
黄色いものは、濃いグリーンのものに比べて実がやわらかいため、比較的調理しやすく生で食べることも出来ます。
ズッキーニの栄養価
100グラム当たり約15kcalと、カロリーが低いため、体重が気になる女性の健康食にはぜひ摂り入れたい野菜です。もちろんダイエットにはおすすめの食材です。
抗酸化作用のあるビタミンBや、ビタミンC、食物繊維、葉酸なども含まれています。
生のズッキーニには多くのカリウムが含まれており、カリウムの水分調節の働きが期待できます。カリウムは余分な塩分を排泄したり、利尿作用に優れています。
ズッキーニの効能
身体の免疫力を高めて、粘膜を保護する働きによって風邪の予防などにも効果があります。
また、ズッキーニに含まれるビタミンBは、肌質をなめらかできめ細かくする働きがあります。
これはビタミンBが、体内の余分な水分を排泄することで、むくみを無くし、血行を促進するためと考えられています。
選び方
色や形が豊富な野菜ですから、用途や調理方法で選ぶといいです。
当然、新鮮なものを選ぶ
ズッキーニの頭の部分の切り口(へたの部分)を良く見ましょう。しなびていないこと、みずみずしくて、青黒く変色していないものを選びます。
外皮に関しては、濃いグリーンにツヤがあり、色鮮やかなものがいいです。
ズッキーニの大きさで選ぶ
ズッキーニにはいろいろな大きさがあって、迷ってしまいますが、いわゆる大きいものは「大味」ということがあてはまる場合が多いです。
大きすぎるものは、中身があまり詰まっていなくて、スッカスカの可能性が大きいです。実の太さがある程度均一な、ほどほどなサイズ感のものを選びましょう。
同じサイズのものであれば持ったときに重みを感じるものの方が水分がありみずみずしく新鮮です。
採取してから日が経っているものに関しても、実がすかすかになりますので新鮮なものを選びましょう。
形で選ぶ
細長いものから、ほとんど球状のものまで様々な形があります。
輪切りにしたり、ひき肉を詰めたりして揚げ物にすることもありますので、メニューによって使い分けるといいです。黄色いズッキーニは外皮が比較的柔らかいようです。
調理方法による食べ方
生で食べる
やはりグリーンサラダに使用するのですが、濃い色のズッキーニよりも、黄色いものの方が柔らかくてサラダに向いているようです。
加熱して食べる
皮付ききのまま油で炒めることにより、ズッキーニに含まれているβカロテンの吸収率を大きくアップさせることが出来るのです。
煮込み料理にもよく使われるのですが、その際は、軽く油でいためてから使用するといいです。じっくりと時間をかけて調理することで甘みが増します。
南フランスの煮込み料理「ラタトゥイユ」には必ずと言っていいほど使用されている食材です。
油としてはオリーブオイルを使用すると風味がアップします。
「オリーブオイルの種類と選び方」や「オリーブオイルの効能と栄養」の記事もご参照ください。
ズッキーニは細長いために、輪切りにして使われることが多いのですが、欧米では丸っこい形のものも多くあり、ズッキーニを適当な大きさに切ってから中身をくり抜いて肉を詰めて揚げたりオーブンで焼き目を付けて仕上げる料理法もあります。
花がついたままの、実は小ぶりのズッキーニもあるのですが、この花の部分に肉などの詰め物をして油で揚げる調理方法もあります。
ズッキーニの保存方法
一旦、包丁を入れてしまったものは、傷みやすくなりますので、出来るだけ全部使い切るようにします。
保存は切った状態のものではなく、一本まるまるを、ラップや湿らせた新聞紙などに包んで、さらに水分が抜けないように、冷蔵用のポリ袋に入れてしかりジップを閉じて、冷蔵庫の野菜室に保存します。
日をあけずに使うなら、20℃以下の涼しくて風通しの良いところがいいでしょう。
「辛み」に注意!
強すぎる辛みは避ける
ズッキーニには苦みや辛みがあるのですが、強すぎるんじゃないかという苦みを感じたときには食べるのをやめましょう。
2014年に岡山で、実際あったことなのですが、ズッキーニに含まれる苦味成分である「ククルビタシン」が原因とされる下痢や腹痛の食中毒が起こってしまいました。
ククルビタシン
「ククルビタシン」とは、ウリ科の植物に含まれる苦み成分で、普通はそれほど強い苦みは無いのだが、このときはたまたま使用したズッキーニに「ククルビタシン」が非常に多く含まれてたと考えられています。
岡山県備前県民局の話では、同じウリ科のゴーヤには「モモルデシン」という苦み成分が含まれていますがこれで食中毒になることはないとしています。
ほとんどこのような例は無いようですが、調理前に切り口をなめてみて、あまりに強い苦みがあれば使用いないようにしたほうがいいですね。
まとめ
日本の家庭でよく使用されている!とまではいえない野菜ですが、夏野菜として注目されているズッキーニは、食感や、栄養、健康に対する多くの効能、多彩な調理方法もありますのでぜひ取り入れてみてはどうでしょう。
塩分排泄作用のあるカリウムの存在は見逃せない栄養成分です。