人参をキャロットというのは、豊富に含まれる栄養素カロテンが由来だそうです。子供のころは嫌いな野菜の一つにもよく挙げられますが、人参が無くては料理が成立しないほどなくてはならない食材ですね。
最近では沖縄の人参と卵の料理「しりしり」にも注目が集まっていますね。人参の豊富な栄養素や、冷凍保存の方法について具体的に解説します。
目次
人参の栄養と効能
βカロテンをはじめ、ビタミンA、B1、B2、C、カリウム、カルシウム、鉄、食物繊維などがバランスよく含まれています。
βカロテン
βカロテンは、体内に取り込まれると、ビタミンAに変換されます。また脂溶性であるため、油を使って調理することで吸収されやすくなります。加熱してもカロテンの量がほとんど減少しません。
人参の赤い色は主にβカロテンの色素によるものですが、京野菜の金時にんじんの赤い色は、なんとリコピンの色なのです。
ビタミンA(ベータカロテン)の効能
目の健康を保つために欠かせないビタミンです。皮膚を丈夫にしたり、目だけでなく鼻、喉、内臓の粘膜の機能を高めて免疫力をアップさせます。抗酸化作用により、活性酸素を除去して老化予防が期待できます。
カリウム
カリウムは体内に余分に摂り込んだ塩分を排泄してくれる大切なミネラルです。血圧を下げる作用がありますので、高血圧の方は積極的に摂取したい栄養素です。
カリウムの働きについては、「血圧を下げる食べ物」もぜひご覧ください。
にんじんの葉
あまり食べる機会は少ないと思いますが、人参よりも、人参の葉の方が非常に多くの栄養素(カリウム・カルシウム・ビタミンE・C・K)を含んでいます。葉付き人参があれば、ぜひ無駄なく利用しましょう。
人参の冷凍保存の方法
人参の常温保存の注意点は、表面についた湿気や水分をよく拭き取ってから保存するのが基本(常温保存方法の詳細は後述しています)ですが、冷凍保存も手間無く出来ますので、ぜひ参考にして下さい。
冷凍保存の方法
そのまま冷凍保存できます♪もちろん生でまるごと冷凍庫で保存できますし、約1ヶ月くらいはおいしく食べられます。
ただ、生の状態でまるごと冷凍してしまうと、使う時にカットしにくいですから、乱切りにしたり、輪切りにしたり、千切りにしておいたりして、調理方法に合わせてあらかじめカットして、容器やジップロックなどに入れて冷凍保存しておくと調理の際にとても便利です。
もちろん加熱後に冷凍保存してもOKですが、生のまま冷凍保存しておいた方が、栄養素の損失が少ないといわれています。
冷凍保存のコツ
人参が空気に触れる部分を極力小さくすることが大切です。密封出来る冷凍用ポリ袋や、密閉容器に入れて、ポリ袋や容器内の空気を少なくしておくことがポイントです。
鮮度を落とさないためには、冷凍庫の温度を調節して急速冷凍出来ればさらにいいですね。
解凍
レンジなどで解凍する必要はありません。もちろん電子レンジを使って解凍してもいいのですが、レンジの強烈な電磁波マイクロウェーブが、食品の細胞を破壊してしまうことに懸念があるので、個人的な意見ですが、あまりおすすめしません。
レンジで解凍しなくても、調理の1時間くらい前に冷凍庫から出して置き、自然解凍するだけでOKです。充分に解凍されていなくてもそのまま、炒めたり、煮たり出来ます。
冷凍保存した人参を解凍しても食感はほとんど変わらず、予めカットしてありますのですぐに使うことが出来てちょっとした時短にもなりますよ。
人参の栄養を効率的に摂取する方法
アスコルビナーゼ
人参にはアスコルビナーゼ(正式名称はアスコルバーゼ)という酵素が含まれているのですが、困ったことにビタミンを含む食材と一緒に食べると、ビタミンCを破壊してしまいますから、食材の組合せには注意しましょう。
ビタミンCを含む食材と一緒に調理する時は、人参を50℃以上に加熱してアスコルビナーゼの働きを止めておくことです。
サラダにする場合などは、酢やレモン汁を少量使うことで、ビタミンCの破壊を防ぐことが出来ます。
またアスコルビナーゼは、生ですりおろすと、より活性化してしまうので、ジュースにするときなどは、一緒にミックスするフルーツや野菜の栄養素を考慮したほうがいいですね。
βカロテンの摂り方
人参に含まれるβカロテンの量は緑黄色野菜の中でもダントツ。人参50グラムで一日のβカロテンの必要量が摂取できるほどです。
人参のβカロテンは、皮の近くに多く含まれているので、皮はうすくむいたほうがいいですが、皮を厚くむいた場合も、油を使った料理に加えたり、さっと炒めて、きんぴらにすると、栄養を無駄なく摂取できます。
一緒に摂るとよい食材
- 白菜・キャベツ・トマト:老化防止や疲労回復に、より効果が期待できます。「疲れを取る食べ物」、「疲れた時にいい食べ物」もご参照ください。
- たまねぎ・セロリ・バター:風邪の予防や、髪を美しく保つ効果、肥満防止。参考:玉ねぎのカロリーと栄養効能
- ブロッコリー・かぼちゃ・こまつな・チーズ:白内障や緑内障など、目に関する病気の予防になります。視力低下の予防にも。
おいしい人参の選び方と常温保存の方法
- 葉:生き生きとした緑鮮やかなもの。新鮮なほどハリやツヤがあってピンとはっています。
- 色:人参本体の色が、きれいな赤み~橙色になっているもの。葉がついているあたりの人参の首辺りが緑色になっていたり、黒ずんでいるものは避けます。
- 切り口:葉が切り落とされている場合の切り口をチェックします。切り口の軸が大きいものは芯も太くなっていて、人参が硬いことが多いので避けたほうがいいでしょう。
- 皮:人参の表皮を見ます。凸凹していて乾燥気味に見えるものは避け、表面が滑らかでツヤがあってみずみずしいものを選びます。
- 常温保存の方法:葉のついた人参は、葉を切り落として、表面の水分をよく拭き取ってから、紙袋に入れて風通しの良い涼しい場所で保存します。
気温の高い夏場は、ビニール袋に入れて冷蔵庫の野菜室に立てて保存します。一旦切ったものは、切り口にラップを密着させて冷蔵庫で保存しますが、早めに使い切るようにしましょう。
まとめ
人参は一年中出回っていますが、大きく分けて、春夏にんじんが4~7月、秋にんじんが8~10月、冬にんじんが11~12月の3つの時期に分けられます。
少量でも非常に多くの栄養分が詰まっているため、緑黄色野菜のチャンピオンと呼ばれるのです。葉付き人参が売っていればぜひ「葉」もまるごと調理して食べてくださいね。「根」よりも多い栄養分があるのですから!