ゴマは、リノール酸などの不飽和脂肪酸の働きによって、老化を緩やかにし、目の健康や記憶力にも好影響を与える食材としても、その効能が知れています。
ごまに含まれる油は消化がよいだけでなく、身体の酸化(体内の脂肪の酸化)を防ぐ抗酸化作用のあるビタミンEを多く含んでいます。
小さい粒から大きな健康パワーが得られる食材の一つです。
ゴマの効能・栄養・健康法など詳しく解説します。
目次
ゴマは色によって栄養価が違う?
色による栄養成分の違いはほとんどありませんが、それぞれに特質があります。
白ごま
黒ゴマよりも、粒が大きくオレイン酸やリノール酸という脂質が多く含まれています。オレイン酸の働きとしては、血中コレステロールを下げてくれることですね。ちなみに日本で売られている白ごまの大半は輸入されたものです。
黒ごま
ごまの原種は「黒ゴマ」なのです。黒ゴマの硬い皮部分には、白ごまにはないポリフェノールが含まれています。
ポリフェノールには、活性酸素の除去に有効な抗酸化作用があります。
金ごま
金ごまは、白ゴマや黒ゴマよりもさらに多くの脂質があり、フラボノイドが含まれていることがその特徴です。
フラボノイドにもポリフェノールと同じような抗酸化作用が期待できます。
フラボノイドやポリフェノールには「眼の疲れ」や「視力」に好作用のあるアントシアニンも含まれています。
ごまの種類
洗いごま
単純にごまを洗って乾燥させたもので、生ものですから、食べる時には軽く炒って火を通してから使用します。
炒りごま
洗いごまを、鍋やフライパンで炒ったものです。洗いごまを家庭で炒ってもいいですし、「炒りごま」の状態で売っていますのでそれを購入してもいいですね。家で炒ったほうが、ごまの香りは楽しめると思います。
練りごま
ごまを擦るとごまの油分で、どろっとしたペースト状になってきます。
ごまペーストの製品としてもよく見かけますね。
すでにごまの硬い皮がすりつぶされた状態ですので、栄養分の吸収も良いです。パンに塗ったり、ごまだれに利用したりとペースト状の練ごまは使用範囲が広がります。
擦りごま
ごまを擦った状態のものです。
この状態で販売されている製品もあり、栄養吸収も良く、そのまますぐに使えますからとても便利です。しかし、早めに使ってしまわないと酸化が進んでしまいますから注意が必要です。
抗酸化作用のあるオレイン酸が酸化してしまっては栄養効果の意味がありませんね。
ごまの栄養成分と効能
脂質、タンパク質、ビタミンB群、ビタミンE、カルシウム、鉄、セサミン
栄養成分の中でも、脂質のなかに含まれる「ゴマリグナン」の健康効果は見逃せません。
ゴマのエネルギー量は、乾燥状態で100g当たり578kcal、炒ったもので100g当たり599kcalです。結構高カロリーなのは、ゴマにはかなりの量の油分が含まれているからです。
ゴマリグナン
セサミン
サントリーのセサミンがよく宣伝されていることもあって「セサミン」は最近よく耳にするようになりましたね。
セサミンとは、ゴマの脂質の中の「ゴマリグナン」に含まれる強い抗酸化作用のある成分です。
ゴマリグナンは植物性エストロゲンの1種で、活性酸素を除去したり、酸化を防止する働きがあることから、アンチエイジング効果があるとされています。
ゴマの栄養分の本質ともいえるセサミンの効能はぜひ摂り入れていきたいものです。
抗酸化作用
ゴマリグナンに多く含まれるセサミンには、強い抗酸化作用があります。
老化防止(アンチエイジング)、肝機能の改善、悪玉コレステロールを低下させる、動脈硬化を防ぐ、血圧を下げるなどの効果が期待できます。
肝機能の改善
ゴマリグナンの働きにより活性酸素に対する抵抗力を付けることができますので、肝機能の改善・回復に役立つのです。
抗酸化物質の多くは、水溶性のため肝臓までは届きにくいのですが、ゴマリグナンは肝臓までしっかり届くのです。同時に栄養を肝臓に届ける役割もある大切な栄養素です。
アンチエイジング
ビタミンEを含む食品と同時に摂取することで、ビタミンEの働きが強化され
老化防止、アンチエイジング、美肌が期待できるのです。
「擦って」食べること!
ゴマリグナンを確実に吸収するためには、ゴマをしっかりすって食べることです。
ごまの脂質
ゴマには多くの脂質が含まれています。
ただしコレステロールは含まれず、その主成分は不飽和脂肪酸であるオレイン酸とリノール酸です。これらは体内で生成することが出来ない必須脂肪酸ですので、食品から摂取する必要があるのです。
不飽和脂肪酸は血中コレステロールを低減させる働きがあります。
「不飽和脂肪酸」については、「オメガ3系食品の種類と健康効果|脂肪酸の効能」に詳しく説明していますのでぜひご参照ください。
ごまの鉄分
貧血や冷え症の予防に
鉄分は、特に貧血症の女性には不足しやすい栄養素です。
血液中のヘモグロビンは鉄分を元に生成されていますから、鉄分の不足が貧血の原因になっています。また貧血になると、血液の巡りも良くありませんので冷え性にもつながってきます。
鉄分は1日に10mgが目安
ゴマに含まれる鉄分は、100g当たり9.9mgと成分としては多い方です。
1日に必要な鉄分量は約10mgとされています。
とはいえ、ごま100gを毎日摂取するわけにはいきませんので、結局は多くの種類の食品をバランスよく摂ることが大切になってきます。
ビタミンCと一緒に摂る
鉄分はビタミンCと一緒に摂取することで効率よく摂取することができますので、ほうれん草、こまつ菜のおひたしなどにゴマを振りかけて食べるといいですね。
ごまの食物繊維
食物繊維は腸内環境を整え、腸内に存在する乳酸菌などを良好に保つ働きがあります。
食物繊維
食物繊維には水溶性と不溶性があり、便秘解消には欠かせないですね。
水溶性の食物繊維は野菜や果物などにも多く含まれていて、腸内の善玉菌を増やすことがみとめ認められています。
便秘解消に!
不溶性の食物繊維が便秘解消に大きく貢献してくれるのです。
食物の水分を吸収して体積を増やし、便を柔らかい状態にして、腸の蠕動運動(ぜんどううんどう)を促して排便につなげます。
ゴマの食物繊維は、ほぼ消化されない状態のまま腸に届いて、便秘解消に働く「不溶性食物繊維」です。
適正な摂取量
大人一人に必要な食物繊維の摂取量は、1日に20~25gと言われています。
ゴマには100gあたり10~13gの食物繊維が含まれています。
胡麻だけで、必要な摂取量を満たすことはできませんので胡麻以外の食材もバランスを考えて摂るようにしましょう。
と言っても、毎日毎日、栄養バランス考えて、献立考えて・・・病院食の栄養士ではないのですから、主婦は大変なのです。たまには手抜きもOK!としなければ長続きしませんね。
まずは食卓に常に置いておいて、いつでもササッと振りかけられるよううにしておくだけでもいいのではないでしょうか。
髪や肌につやを生む効果
ゴマは、にんにくなどと違い、身体に穏やかに作用することから、長く食べ続けることでその効果が得られるとされています。
毎日少量でも食べ続けることで、肌や毛髪に美しい光沢が出てくるようになります。
乾燥肌で皮膚がカサカサしている場合でも、摂取することでなめらかな肌質に変わってきます。
老化の促進物質を取り除く働きとビタミンEなどの相乗効果により、小じわを消す効果も期待できます。
小じわが消える・・・というよりは、肌に潤いが出るために、小じわが目立たなくなるのだと考えられます。
すりごまの食べ方と保存方法
ゴマの粒は小さいけれども、硬い皮におおわれていて、そのままではせっかくの栄養成分を摂り入れることができません。
皮をすりつぶして摂取してこそ、その栄養成分を吸収できるのです。
だからといって、すりつぶした状態で長く保存することはお勧めできません。なぜなら、ごまに含まれるリノール酸が酸化してしまいます。ですから、ゴマは食べる直前に擦るようにします。
フタがしっかり閉まる密閉容器に入れ、常温で保存しますが早めに使いきるようにしましょう。
ゴマのいり方
油をひいていない鍋、もしくはフライパンを温め、そっこの洗いごまを入れます。このときゴマを多く入れすぎると焦げてしまいますから注意しましょう。
ごまを入れたら少し強火にし、鍋を軽く持ち上げてやや火から離すようにして、木製のヘラなどで軽くかき混ぜます。
ごまがプチプチとはじけてきたら、火を止めます。
まとめ
ごまに含まれる「ゴマリグナン」の効能が素晴らしい働きをしてくれます。
身体をサビつかせることを予防してくれる抗酸化作用には大きく期待できますね。
セサミンなどのサプリメントで摂取することもいいですが、出来れば実際の食物「ごま」そのものから摂取したいですね。