東京発の野菜としては練馬大根や小松菜が有名ですね。実は東京が原産の野菜がたくさんあるのです。最近では寺島なすにも注目が集まっていますが、寺島なすも元々は墨田区の東向島界隈で栽培されていました。
しかし今では、江戸東京野菜の多くが小金井市で生産されているのです。江戸東京野菜の種類には何があるのか、どんな野菜がどのように生産されているのか、販売店についても詳しく紹介します。
目次
小金井市が江戸東京野菜の生産地
江戸東京野菜とは
江戸東京野菜とは、江戸時代の初期から昭和の初めにかけて東京で生産されていた、東京の伝統的な野菜のことで、代々同じ形質の野菜として受け継がれていました。こういう形態を「固定種」というのですが、品種改良が無く、野菜の味や形が江戸の頃と変わらないものが食べられるのはとても興味深いことだと思いませんか?
東京で生産される野菜は、時代の流れで徐々にその生産が減ってきたのですが関東大震災以降はさらに激減しています。2007年に「江戸東京野菜」と名付けてこれらの東京野菜を復活させるという動きが出てきたのです。
「寺島なす」も2009年に復活し、江戸東京野菜は2011年にJA東京中央会が商標登録して、東京で作られる独自の「東京の地場野菜」としてテレビや雑誌でも取り上げらることが多くなり、非常に注目を集めています。
江戸東京野菜がなぜ小金井市で生産されているの?
このような江戸東京野菜の復活が始まったのが小金井市なのです。小金井市の「黄金井(こがねい)江戸東京伝統野菜研究会」が主体となって活動が続けられています。
小金井市役所では、「衣食住」を中心に「まちおこし」を企画し、まずは「衣」は東京農工大学の「繊維博物館」、「住」は小金井市にある「江戸東京たてもの園」でそれぞれの特徴に触れることが出来るようにします。そして「食」については、小金井市内の農家に依頼して「江戸東京野菜」を復活させて、江戸時代の「江戸東京野菜」を市内の飲食店で使用した料理を提供してもらうことで、江戸期の食体験ができるようにしています。
最近では江戸東京野菜がよくテレビ番組でも紹介されるようになりましたし、料理の素材として使用する飲食店が増えてきているのも事実ですね。独特な食感のある江戸東京野菜ですから、個人的には東京だけでなく、もっともっと宣伝して地方にも広がることを期待しています。
江戸東京野菜の種類と販売店
江戸東京野菜にはどんな種類があるの?どこで買えるの?
現在では40種類の東京野菜が「江戸東京野菜」として商標登録されています。下記にその種類と特徴、販売店を表記しましたので、興味がある野菜があればぜひ食べてみてくださいね。
- 1.練馬だいこん:練馬区春日町近辺で栽培され、1メートルにもなる長さが特徴。
販売は、練馬区平和台の渡戸さん宅の庭先売り。090-2904-6025
JA東京あおば「ふれあいの里」(03-3991-8711) - 2.伝統大蔵だいこん:世田谷区大蔵で栽培。練馬大根の系統から分かれた大型のだいこん。
JA東京あおば「ふれあいの里」(03-3991-8711) - 3.亀戸だいこん:江東区亀戸・香取神社付近で栽培。30センチくらいの短めの大根で、先が細く尖っています。肉質が緻密できれいな白色をしています。
販売は、江戸川区鹿骨の木村さん宅の庭先売り。090-1407-6184/
JA東京あおば「ふれあいの里」(03-3991-8711)/東京シティー青果(03-3549-9263)
- 4.高倉だいこん:主に八王子の高倉で栽培されていた大根で、昭和24年頃から普及が始まっています。
- 5.東光寺だいこん:日野市一帯で栽培され、品種は練馬大根と同じものです。
- 6.志村みの早生だいこん:板橋区の志村で「みのきち」という人物が栽培を始めたことから名付けられたもの。練馬大根の系統。
- 7.汐入だいこん:隅田川下流の汐入地域で、明暦2年(1656年)から栽培されていたとされています。
- 8.品川かぶ・滝野川かぶ:江戸期の滝野川と品川あたりは土壌が非常によく似ていて、生産地域によって呼び方がかわっています。
- 9.金町こかぶ:葛飾区東金町一帯で栽培。春に栽培しやすい品種で、江戸期には高級料亭に高値で出荷されていたようです。
販売は、小金井市の井上さん宅の庭先売り。070-5463-9541
JA東京むさし小金井経済センター(042-385-3281) - 10.下山千歳白菜:世田谷区の北烏山で下山義男という人物が生産を始めたとされる白菜。
販売は、世田谷区の北烏山の下山さん宅の庭先売り。03-3307-3054 - 11.城南小松菜(伝統小松菜):世田谷や大田区の温かい地域で栽培された小松菜。
- 12.後関晩成小松菜(伝統小松菜):鷹狩りに出かけた八代将軍・徳川吉宗が、小松川村で休息した時に食べた「青菜」に吉宗自らが「小松菜」と名付けたとされています。
販売は、小金井市の鈴木さん宅の庭先売り。042-381-3869
JA東京むさし小金井経済センター(042-385-3281) - 13.しんとり菜:葉が柔らかく、加熱した後もしっかりとして、歯触りが良いことで知られていた野菜で、チンゲンサイに代わって使われていたようです。
販売は、小金井市の高杉さん宅の庭先売り。080-5673-8152
JA東京むさし小金井経済センター(042-385-3281) - 14.青茎三河島菜:江戸の食文化を支えるほどの人気があった青菜。
- 15.のらぼう菜:販売は三鷹市上連雀の根岸さん宅の庭先売り。0422-43-5306/三鷹緑化センター (0422-48-7482)
- 16.奥多摩わさび:多摩川の清流がある奥多摩で盛んに栽培されていました。
販売は西多摩郡奥多摩町の鈴木わさび農園(0428-78-7778) /なか屋 (0428-85-1488)/千島わさび園(0428-85-1872)
- 17.砂村三寸にんじん:砂町・大島町近辺で栽培。根部分は短く、昭和40年代頃から普及し始めています。
- 18.馬込三寸にんじん:長さ10センチほどの小ぶりのにんじん。
JA東京あおば「ふれあいの里」(03-3991-8711)/東京シティー青果(03-3549-9263) - 19.東京うど:栽培は江戸後期に吉祥寺で始まったとされています。
JA東京むさし三鷹緑化センター (0422-48-7482) - 20.内藤とうがらし:新宿御苑で藩主内藤家が栽培していたもので漬物や香辛料として使われていたようです。
- 21.寺島なす:墨田区東向島・白鬚神社付近で栽培。隅田川の沿岸の肥沃な土壌がなすの生産に最適で、とろりとした濃厚な味わいがそのまま復活しています。
JA東京あおば「ふれあいの里」(03-3991-8711)/東京シティー青果(03-3549-9263)
販売は、三鷹市中原の星野さん宅の庭先売り。090-2461-9155 - 22.雑司ヶ谷なす:味が良く、江戸時代から大正時代にかけて、人気があった野菜の一つ。
- 23.高井戸半白きゅうり
- 24.馬込半白きゅうり:きゅうりというより「ウリ」に近く実は白く太いのが特徴。
JA東京あおば「ふれあいの里」(03-3991-8711)/東京シティー青果(03-3549-9263) - 25.本田うり:ほんでんうり。葛飾区立石一帯で栽培。大ぶりなウリで非常に美味しい水菓子とも言われています。
- 26.小金井まくわ:江戸時代から小金井で制されていたマクワ瓜。
- 27.東京大越うり:北区田畑付近で栽培。奈良漬専用のうり。
- 28.鳴子うり:新宿区西新宿・鳴子坂で栽培。長さは10センチほどで、お尻より頭の部分が細くなった形が特徴で、とても甘く水菓子としても貴重なものだったようです。
- 29.内藤かぼちゃ:新宿区内藤町・新宿御苑で栽培。藩主内藤家が栽培していたかぼちゃがこの地の有名野菜になったもの。
- 30.滝野川ごぼう:北区滝野川で栽培。この地域は深い黒土があり、1メートル近くもある長さで品質も良い。枝の数が多いためにたくさん採取できます。
五日市ファーマーズセンター・あいな(042-596-1280) - 31.渡辺早生ごぼう
- 32.砂村一本ねぎ
- 33.拝島ねぎ
- 34.千住一本ねぎ
- 35.早稲田みょうが:新宿区早稲田・穴八幡付近で栽培。香りがよくて、見た目の赤みもきれいで薬味や漬物にも用いられています。
- 36.谷中しょうが:荒川区西日暮里で栽培。谷中にある多くの寺社や、職人がお中元に使ったことから江戸中の評判となり、しょうがの特産地としても有名に。
販売は、目黒区八雲の栗山さん宅の庭先売り。03-3717-4775(FAX) - 37.孟宗竹のたけのこ:品川、目黒、世田谷から孟宗竹の栽培が広がり、広くそのタケノコが食材として利用されていました。
- 38.川口えんどう:販売はJA八王子園芸センター (0426-26-0431)
- 39.三河島枝豆:荒川区荒川・三河島付近で栽培。ひとつのさやに3粒の豆がきれいに揃って成るのが特徴。
販売は、小平市の宮寺さん宅の庭先売り。090-1427-8641
JA東京むさし小平経済センター(042-348-7244) - 40.足立のつまもの(芽蕪・つる菜・アサツキ・木の芽など)
まとめ
参考
- 江戸東京野菜「寺島なす」
- 「安家地大根の味と食べ方と栄養|お取り寄せ通販情報も!」
江戸時代に流通していた伝統野菜が、意外にも自宅の近くで栽培されているかもしれませんよ。近ければ出向いてみてはいかがでしょうか。品種改良も少なく、当時の味や形がそのまま復活している野菜ですから、ぜひ食べてみたいものですね。